放射線計測ソリューションを「NINJA」日本Androidの会原子力部で構築しておりますが、 航空機による広域計測ソリューションについて手がけます。
模型飛行機に放射線計測器を搭載して測定させると考えた場合、 メッシュネットワークによる広域計測に対して以下のようなアドバンテージがあ ります。
航空機 | メッシュネットワーク | |
1台 | 大量 | 必要な機材の数量 |
100平方km | 1平方km | 100万円での計測面積 |
集中管理 | 個別回収 | メンテナンス |
小 | 大 | 地形による測定変動 |
容易 | 困難 | 電源管理 |
少 | 多 | 廃棄時の労力 |
具体的には、全幅1m程度のグライダーをベースに、ブラシレスモータでプロペラを 回して巡航。推進力を弱くして電池を保たせて滞空時間を稼ぐ方向で。EPP製で 壊れにくく。離陸質量300g位、ペイロードに放射線計測器とGPSを搭載。ロボット 化してある程度の自律飛行を行う。動力源はLiPo?が無難だけれどマグネシウム 燃料電池が使えるかな?
高価な機材などをなるべく排して誰でも作れるものを開発。要素技術から作っていかなくてはなりません。
名前は Robotecs Recon Motor Glider ... RRMG。
なお、類似の構想はいくつかありますが、例えばopenreliefプロジェクト http://openrelief.org/index_jp.html などは機体規模も大きなもの(全幅1.6m)、20分から30分の滞空時間で1000ドルで の製作を実現するのに対し、RRMGはもっとチープで質量にして1桁少ないものです。しかし滞空時間を最低1時間以上、実用的かどうかは別として10時間はいきたい気持ちです。
このメソッドを開発しておけば、次の災害への備えとしても使えるのではないか? 応用も広いのではないか? ということで興味がある方はお誘いあわせの上、ご参加ください。
・完成品を売るのが目的ではない。だれでもいざというときに作るメソッドを確立し、公開するのが目的。 ・どこでも手に入りやすい材料で、手間をなるべくかけずに作成できる。 ・蛮用に耐える。丈夫なこと、使用条件がゆるやかなこと、使いやすいこと。
架線などにひっかからない高度 あまり高い高度をとると地域解像度が悪くなる 地域解像度を50mグリッド程度にするなら、高度も50m未満にする必要がある 高度は海抜高度ではなく、地表からの高度を使って飛行 立木などがある場合はその高さが測定値にあまり強く影響しないようにしないといけない→必然的に40mとか50mとかよりも高いところを飛行
高度制限:航空路では150m、それ以外では250m
∴40mとか50mとか以上、150mとか250mより低く ビルなどの建築物について、60mぐらいまでが高層建築物、それ以上が超高層建築物
今回は高度100mで巡航することをひとまずの目標としてみます。
・自動操縦 ・自動高度維持 ・自動帰還 ・障害物探知および回避
この要素それぞれに必要なアビオニクスは
・GPS ・対地高度計 ・終末誘導装置 ・衝突回避装置
となります。これにプラスして、本来の目的のために放射線検出器を搭載しま す。
放射線検出器はSunSPOTでのスタディを元に、ガイガー式とします。 ガイガー検出器の質量は50g程度、それに上述のアビオニクスやデータロガー、 電源なども入れて100g程度とします。
更になるべく汎用性を持たせて放射線計測以外にも転用できるように、ペイ ロードを50g~100g程度とし、これは外形的に収まる限り交換可能なようにします。
何といっても屋外飛行をするため、あまり飛行のために条件を課さないように したいと考えます。風速4,5mでも実用になるためには速度6,7m/sぐらいの対気 流速度が必要で、時速の直すと20~25km/h程度となります。実際にはもっと 必要かもしれません。
それに対し、ガイガー検出器での測定は時間がかかるため対地速度を遅くする 必要があります。グリッドごとに最低1分は欲しいところです。100mのグリッドを 100mの高度から測定すると、直線飛行だと対地速度1.5m/sぐらいにしないと いけません。ちょっとこれは屋外飛行させるには苦しいので、対地速度4m/sで 半径40mを旋回飛行させるとかの工夫が必要になります。
推進方法はプロペラ一択。索引式かプッシャー式のどちらにするか?プッシャー式 の方が壊れにくくなりますが手投げ離陸しにくいという問題があります。これはアビ オニクスとからめて決定します。 モーターは6Φのブラシレスモータ、電源はLiPo?、できれば燃料電池。
GPS、対地高度計は重量以外はさほど考えることはないでしょう。 終末誘導装置はとりあえずは普通のRC装置を使うことにします。
衝突回避装置だけは装備位置を考える必要があります。これは機首に取り付けたい。 となると機首にプロペラが着くコンフィグレーションはとれないことになります。 さて、モータを6φのブラシレスモータですが、この大きさなら双発にすることができます。 双発にして衝突回避装置との干渉も防ぐとします。更に双発プッシャー式にすると手投 げ離陸に障害があるのも回避できます。
ガイガー式で測定ということで、回路はプリント基板化して軽量化が前提、更にデータ はSDカードなどにログをとり、回収してからマッピングソリューションにアップするという ことで。cloudcande/imaocandeは現在リアルタイムツィートっぽいデータエントリーなの で、バルク転送とかのエントリー方法を考慮しないといけないでしょうね。
ご指摘の通り、空間線量を測ることになります。その上で、意味のある測定が できるかどうかを検討します。
この空間線量Sは
A...宇宙線 B...大気浮遊の放射性物質 C...地表よりの放射
の合成となります。
100mぐらいの高度での値をそれぞれA1,B1,C1とすると、100mでの空間線量S1は
S1=A1+B1+C1
ということになります。
次に地表近くでの測定の値S2を考えます。同じようにA2,B2,C2とすると、
S2=A2+B2+C2
となりますが、ここでA1=A2と考えていい、またとても荒い仮定をして、Bの密度が 上空も地表近くも一定だとすると、B1/2=B2となります。
となると
S2=A1+B1/2+C1
となります。B1の由来は原発事故から直接飛散したもの、原発事故由来で地表汚染 から舞い上がったもの、海外から飛来したもの、自然放射線源とありますが、過酷事故 発生真っ只中だとか、集塵したものを測定するとかでなければ、ガイガー管レベルだと 測定できないのではないかと考えています。
となるとS1とS2の違いはC1とC2がどれだけ違うかということになります。地表の汚染は 実際はフラクタル状になっていますが、ここでは設定した空間分解能(100m)より小さいスケ ールは平均化して計測することを前提とします。
無限平面から一様に放射されるモデルを基にすると、理論的には距離間の物質 による吸収のみで減衰することになります。測定はγ線を対象とするので、空気 100mだと大体1/3ぐらいに減衰かな? この位だとガイガー管で十分取れる感 じですね。
ということで、ガイガー管での地表汚染計測が何とかなりそうということで、これを試し てみようというところです。ただスペクトルは取れないので文科省データのようにセシウム 濃度とかは出せないですね。