[[FrontPage]] 軽自動車用の鉛バッテリーとして安価に手に入る40B19バッテリーを使用している。 40B19バッテリーの5時間率容量は28Ahである。 大体80時間程で使用することを想定しているが、容量は何時間で放電するかによって 変動する。 経験則として、x時間率での容量をyとしたとき、 log 4 ( x/5) = log 1.25 ( y/28 ) が成り立つ。 したがって、40B19バッテリーの80時間率容量は44Ah程度となる。 次に、モニタリングポスト稼働時にバッテリーの消費をどれだけに抑えるかを考える 必要がある。鉛バッテリーは深い放電を行うと寿命が著しく損なわれる。それを防ぐ ためにはディープサイクルバッテリーを使う方法もあるがコスト面から今回は使わな いこととする。そのためバッテリーの使用率を60%程度に抑えることとし、設計を 行っていく。 44Ahで60%利用する場合、平均電圧は12.5V程度である。したがっって利用できる 電力量は 44Ah*60%*12.5V = 330Wh である。 一方、モニタリングポストに内蔵している電力消費機器としては以下のものがある。 1. Raspberry Pi 本体 2. Wi-Fiドングル 3. 放射線計測器 4. LIBLO AVR (Arduino互換機) 5. TWE-LITE 6. RaspberryHabu 6.に鉛バッテリを接続し、6.に搭載したDC-DCコンバータにより5Vを生成して 1.〜5.に供給している。1.〜5.の最大消費電力は以下の通りである。 1. 3.5W ( 5V 700mA ) 2. 2.5W ( 5V 500mA ) 3. 0.1W ( 3.3V 30mA ) 4. 0.1W ( 3.3V 30mA ) 5. 0.2W ( 5V 40mA ) 合計 6.4W これは最大消費電力なので時間平均で60%とすると、3.8Wとなる。 更に6.の12.5Vよりの変換効率が約70%なので、全体での消費電力は5.4Wとなる。 これより、バッテリが100%の充電状態から60%使用する場合の稼働時間は61時間と なる。 これはバッテリのみで稼働した場合、2日と13時間稼働できるということである。 天候悪化時でも3日間動作することを目標としているが、これだけでは3日間の72 時間には半日ほど足りない。しかし実際には天候悪化時にもわずかながら太陽電池 は発電するため、それを加味すると72時間の稼働が可能となる。 具体的には50W出力の太陽電池を接続しており、晴天の冬至であっても晴天であ れば1日で400Wh台の発電がなされる。極度に悪い天候であっても、降雪などで パネルが覆われる場合を除けば約1/10程度の発電は期待できるため、3日間で120Wh 以上のの出力があることになる。充電器によるロスによって10%のロスが発生するとす ると、約110Wh分がバッテリから利用できる330Whに足すことができる。 約440Wh分が3日間で利用できるとすると、約81時間となるので3日間の稼働は 可能と考えることができる。 最後に、60%を消費し残り40%となった場合のバッテリは、天候回復時にどれだ けで100%に回復できるかを考察する。 バッテリの充電は50W出力の太陽電池SY-M50W-12(SUNYOOO solar Limited.) と、ソーラー充電コントローラーCM04-2.1(Phocos AG)を使って行う。 太陽電池の出力は1000W/m^2のとき50Wであるが、太陽に正対した場合は 太陽定数1366W/m^2と大気による吸収損失6%より1280W/m^2の日照があると 計算できる。これより、太陽電池パネルの経年劣化を考慮しても、60Wの出力 が期待できる。 これを元に、別紙計算により冬至であっても一日あたり430Whの出力が得られる ことがわかる。 充電器によるロスを10%とすると約390Whとなる。冬至の日照期間中の1日の 搭載機器の消費電力量は63Whなので、それを引いた約330Whがバッテリ充電 に使われる。バッテリの放電電力量対充電電力量比率を80%程度なので、一日 に放電時の換算で約260Whが充電されることになるが、夜間14時間で搭載機器 76Wh消費するので、それを差し引くと1日で約180Wh分が充電できることにな る。バッテリ容量の60%を充電するためには330Whが必要なので、2日間の晴天 があれば充電ができることになる。 なお、この計算は常に日照が妨げられないとしての計算なので、日照が妨げられ る場所に設置の場合は別紙計算などによって事前に十分検討する必要がある。