「『ラズベリーパイ』で電子工作入門」開催報告

秘密結社オープンフォース 河野悦昌

去る2015/3/14(土)、香川県のe-とぴあ・かがわにて

eとぴあ・かがわ「春の文化祭」イベント・えれくら!TypeR特別編 「『ラズベリーパイ』で電子工作入門」

イベントが開催され、講師をさせていただきました。 以下開催報告です。

開催概要

  • 開催日:2015年3月14日(土)
  • 場所:eとぴあ・かがわ クラスルームC
  • 時間:
    • 10:30-12:00:午前の部「初心者向け」
    • 13:30-17:00:午後の部「中級者向け」
  • 内容:ラズベリーパイ(Raspberry Pi)を使った電子工作の入門教室。
  • ・午前の部 参加者10名。
  • ・午後の部 参加者14名。

内容

午前の部 10:30-12:00

  • 10:30-11:00 自己紹介
  • 11:00-11:30 「つなげて☆みよう」 Raspberry PiとKVMを接続、起動、ログイン、pythonを使ってみる
  • 11:30-12:00 「工作☆しよう」 Raspberry Piより電源を取りブレッドボード上で電子工作、スイッチの値をRaspberryPi?に取り込む。

午後の部 13:30-17:00

  • 13:30-14:00 自己紹介
  • 14:00-14:30 「接続」 Raspberry PiとKVMを接続、起動、ログイン、pythonを使ってみる
  • 14:30-15:00 「WiringPi?」 WiringPi?ライブラリを使って接続、LED制御
  • 15:00-15:30 休憩
  • 15:30-16:00 「サーボモーター」 PWMでサーボモータを動かす
  • 16:00-16:30 「雲台」 サーボモーター+LEGOブロックで雲台を作る
  • 16:00-17:00 「カメラ」 雲台にWebカメラを搭載して動作デモ

参加者内訳

午前の部 参加者10名。

  • うち小学生9名、大人1名。更に小学生の付き添いの3名程度。
  • 小学生は6歳〜12歳

*開始時のヒアリング結果:

  • キーボード使えない0人
  • マウス使えない1人
  • Raspberry Pi使ったりさわったこと有3人

午後の部 参加者14名。

  • うち小学生12名、大人2名、小学生更に小学生の付き添いの3名程度。
  • 小学生は6歳〜12歳

*開始時のヒアリング結果:

  • キーボード使えない3人
  • マウス使えない0人
  • Raspberry Pi使ったりさわったこと有5~6人

進行

元々、キーボード操作ができる方向けにカリキュラムを組んでいました。しかし前日、来場者リストの確認時に 予想外に小学生低学年が多く、キーボード使えない方が多く出る可能性があることから急遽カリキュラムを 以下のように変更しました。

午前の部

Raspberry Pi上でIDLE3を起動、Pythonのインタープリタとスクリプトで操作。
↓(変更)
Raspberry Pi上でIDLE3を起動、Pythonのインタープリタで操作。

午後の部

Raspberry Pi上にsshでログイン、vimでPython3,PHPのプログラム作成して実行。
↓(変更)
Raspberry Pi上でIDLE3を起動、Pythonのインタープリタで操作、カメラをvlcで表示。

作成物と参加者の反応

午前の部

前半、Pythonで電卓代わりとする体験で、様々な四則演算を行いましたがあまり良い反応は感じられませんでした。

後半、電子工作は参加者のやる気が感じられ、どんどん先に行く参加者もありました。 最後にスイッチが押されていたら1、離されていたら0とRaspberry Pi側で表示するように実行したのですが もう少し派手さ、ないしわかりやすさのある工夫が必要な感触があります。

午後の部

前半、Pythonで電卓代わりにしたのは午前と同様ですが、極端に大きな値を入れてみたりすることで 興味が増したようです。

サーボの動き、レゴブロックの作成については食いつきが大きく、自分なりに工夫を取り入れた参加者も多くありました。

カメラが全員の手元で動作する構成にできなかったことが不満の声が上がりました。

成果

このように簡略化したとはいいながら、以下のような操作を全員に行ってもらっています。

起動
↓
ログオンプロンプトにIDとパスワードを入力
↓
シェル上でstartxと入力実行
↓
X-window上でLXTerminalをマウス操作で呼び出す
↓
sudo idle3と入力実行
↓
Pythonをインタープリタとして実行していく

この一連の流れは、ショートやケーブル不良などによりRaspberry Piが再起動することがあり、 何度も入力をしてもらっています。

そのうちに、sudo idle3 を「須藤アイドルさん!」と言うようになり慣れ親しんで入力するようになりました。

散会後、幾人かに声をかけたところ、一様に難しかったという声が返ってきました。しかし今後も まだまだやっていきたいという意欲も大きく、次は? という声に「えれくら!」の案内をするとぜひ 来たいといった反応が少なからずありました。

ハードウェア工作にかかわる問題点

ハードウェアを使ったワークショップには機材トラブルがつきものですが、今回発生した機材トラブル についてまとめます。

  • サーボモーター動作不良
    • 2個ほど動作に問題のありそうなものがあり、配った時点で予備品と交換しました。
  • 性能の低いmicroUSBケーブル
    • サーボを動かしたり、休憩時間中にminecraftを動かした時にリセットがかかってしまうRaspberry Piが 頻発しました。原因はあらかじめ用意いただいておりましたmicroUSBケーブルで、電流があまり流せない タイプのものが混じっていました。スタッフおよび参加者の親御様よりケーブルなどをお借りし、対応しました。
  • カメラ対応
    • Logicool HD Webcam C615をワークショップで使用しましたが、事前に確認いただいてましたが急遽 ワークショップの環境を変更する必要があり、当日の環境で動作しませんでした。
    • 動作確認できていて予備に持ち込んでいたWebCam? Logicool C270を1台に接続し、それで動作デモを行い代わりとしました。

その他の反省点

  • 告知の足並みが揃わなかったこと。告知および募集のタイミングについて把握し損ね、募集が
  • 大分進んだ後に内容FIXとなったこと。これにより、予定していた内容と来場者のミスマッチが発生したこと。
  • テキストFIXが遅くなったこと。前日会場入りしましたが、会場で用意していただいたレゴブロックにあわせた作例の作成が遅くなり、テキストの印刷でe-とぴあのご担当者様に負担をかけてしまったこと。
  • バックアップ機材を河野が持ち込み忘れてしまい、本番時の不測事態への対応時間が悪化したこと。
  • 午前、午後ともRaspberry Piを使った制御の入り口までにとどまったこと。あと一歩進めば、より満足度の高いセミナーとなっただろうこと。
  • えれくら!様よりTA要因として3名をスタッフとしてお願いしたが、河野からどのように進めるかの説明が不十分で本番中のオペレーションが混乱したこと。
  • 本来は大人も子供も区別なく参加いただく想定だったけれども大人の参加者に場違いと思われたこと。

その他の知見

なお、以下に今後の類似イベントに役立つと思われる、その他の知見を記していきます。

・テキストについて

書籍「RasbperryPi?電子工作レシピ」をセミナーテキストに使用する予定でしたが、書籍を基にして再構成した別テキストをe-とぴあ様にて手間を掛けて印刷製本いただき、そちらを使うことで統一しました。 しかしながらテキストも使用した箇所は2割程度で残りはその場でアレンジした内容でレクチャーしました。

・Pythonで行う講習について

プログラムをキーボードから入力することが前提で、最低要件としてキーボードが打てる必要がありました。 キーボードが打てるならば、ヘッドレス+CUI+Webアプリという構成が教授コストが最も低いと考え、午後はそれで行う予定でした。 しかし実際にはほとんどが小学生のためキーボードが打てない可能性が大きく急遽とりやめました。 また、プログラムファイルを作成、保存、実行、間違った場所を修正というところもワークショプで行うのは不可能だろうと判断し、インタープリタのみの内容としました。

・キーボード操作について

参加者はキーボードの操作について、習熟別に主に3つのモデルにあてはまりました。

まず、キーボードがある程度打てる層。この層は最初はまごついても、ワークショップ中どんどん慣れていき、入力を恐れません。

次に、キーボードは打てないけどアルファベットが読める層。この層も、アルファベットの位置を探しながら少しの助言でもりもり入力してくれる参加者が多かったです。

最後に、キーボードは打てず、またアルファベットが読めない層。 キーボードのキートップにはアルファベット大文字が刻印されているが、Pythonは小文字が多い。アルファベットの大文字、小文字の対応が把握できていないと全くわからなくなる。このような参加者はつきっきりでキーボードのキーの場所を指し示すと、一応は入力してくれますが数行を入力してもらうのはつらい。このような場合は一行入力したら、あとは先生が打ってあげるよ、とはげまして、2行目以降は変わって入力してあげることで進行をしました。

鍵はアルファベットの大文字、小文字が把握ができているかどうか。これさえできていれば、キーボード慣れていなくてもかなり打ち込んでくれるということになります。

・今回新たに開発したもの

結果的にsshログインをしなかったので、今回は使用しませんでしたが、DVD-ROM化CYGWIN-FABLIB-TOOLCHAINを新たに 開発しています。これはひと通り設定の終わったCYGWIN環境をダウンロードするだけで使えるようになるものですが、今回DVDメディアに納め、DVDメディアのままでWindowsより実行ができるようにしました。

・対象年齢について

本来半分程度が大人、半分程度が子供と想定していました。結果的に小学生が主のイベントとなり、急遽カリキュラムを変更しました。元々予定していたsshでのログインするワークショップは、小学校低学年を多く含んだワークショップで可能かどうかは不明ですが、少なくともPythonを使ったワークショップは、アルファベットの大文字、小文字さえわかれば小学校低学年でも十分可能であるという感触を得ました。

また、少数ですが参加された大人の方も、電子工作がはじめての方、Pythonがはじめての方ということで得ていただくことが少なくなかったという感触でしたが、小学生の対応に労力を取られて、大人の方へのより展開したアドバイスなどが不足していただろうと感じています。

今後の展開について

今回の成果を元に、Raspberry Piのワークショップを様々な形で展開していこうと考えています。また、えれくら!様とも機会がありましたらぜひとも連携して様々なことを進めていければと考えております。


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Last-modified: 2015-03-16 (月) 19:41:33 (3329d)